MOSHが考える、時代に合わせたプロダクトの目指し方

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はじめに

こんにちは、MOSHの村井です。

薫風さわやかな季節を迎え、読者の皆様におかれましてはますますご清栄のことと存じます。

時刻は2022年4月28日0時51分42秒。

僕は今このとき、明日までにこのブログを書きあげるというメンバーとの約束をなんとか守ろうと必死の思いでデスクについています。

時候の挨拶から入らせていただいたのも、「文章 書き出し」でググった結果が反映されています。

わたくし、あまり文章を書くことは得意ではござりません。ほら、敬語もどこかおかしい気がします。ござる?

それもこれも、社会にでてからまともにビジネス文書の書き方も学ばず、C#やらPythonやらばっかり書いてきたからこうなるのです。そっちもマナーがなってないんですが。

でも、書きたいことはあるのです。特にMOSHの事について。

書く力が足りなりから書かないけれど、文字の力を使って伝えたい思いや考えは、さすがに5年間もMOSHでやっていれば一つや二つは出てこようというものです。

そんなわけで、拙いところもあろうと思いますが、以下お付き合いいただければと思います。

ロードマップのつくり方

今回は、プロダクトの成長の道しるべであるロードマップの作り方についてお話ししたいと思います。MOSHのロードマップの紹介ではなく、MOSHではどのようにしてロードマップを作っているのか、というお話です。

さて、ロードマップとはどのようにして決めていくべきなのでしょうか?

一般的な方法は多々あると思いますが、ここではそういった方法論の比較検討ではなく、MOSHでの取り組み方をご紹介させていただきます。

MOSHではロードマップを短期・中期・長期という時期に応じた提供価値のリストとして定義しています。

また、提供価値は時期が近くになるにつれ粒度が細かい具体的な機能として表現し、未来に近づくほど抽象度を増した、単にコンセプトを言語化したものになります。

先日リリースしたコラボレーション機能を例にとると、以下のようにロードマップに記載されるイメージです。

  • 短期
    • コラボレーター検索機能(UIイメージが浮かぶ程度に具体的)
  • 中期
    • クリエイター同士がMOSH上でコラボレーションできる(UIまではイメージできないが、やりたいことはわかる)
  • 長期
    • クリエイターが自身の認知を相互に補強できる(MOSHが提供したい価値のコンセプト)

短期・中期・長期の時期感は、

  • 短期が今クォーターに取り組むもの
  • 中期が半年~一年以内
  • 長期は一年以上先を見据えたもの

となります。

基本的に、上記の規則に従い提供価値を並べたものが、ロードマップとなります。

インサイト

先ほどから提供価値という言葉を使っておりますが、提供価値とは「MOSHが解決することを目指す課題」と同義です。この提供価値(課題)を見つけ、解決を目指すことがロードマップをつくることになります。

MOSHはクリエイターさんにどんな価値の提供を目指すべきなのでしょうか?

それはどのように提案され、検討され、ロードマップに乗せるとすべきでしょうか?

まずMOSHでは、提供価値(課題)の発見のために、全てに先立ちクリエイターさんとのコミュニケーションを開始します。

その手法としては、インタビューやアンケート、アクセス解析、SNS、公的な資料の調査等、対象の規模や結果の形式も様々なものがあります。

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上記のように能動的なアクションもあれば、カスタマーサポートのお問い合わせに応えるような日々の活動から提供価値が発見されることもあります。

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こうした、言わば調査フェーズを経て知見やインスピレーションを得ることを、MOSHでは

「インサイトを得る」

と言います。

インサイトは上手に言語化できることもあれば、そうではないこともあります。

「お会いしたクリエイターさんがみんな焦りを感じてる気がした」

といったような漠然とした印象や

「今の技術トレンド的に市場がこんな変化をしそう」

といった空想のようなものも、立派なインサイトです。

議論

インサイトを得たら(または、得られたという手応えを掴んだら)、次は議論です。

上記の通り、インサイトとは漠然としているものであり、インサイトを得た本人も自信を持てないことも多々あります。

それをチームの力で具体性を持たせていく、より解像度高く言語化していくプロセスがMOSHにおけるインサイトの議論です。

(余談ですが、概ねMOSHにおける議論は「その人の言いたいことを言語化し、共有することをチームが支援する場」だととらえています。)

正否を決するものや、正誤を判断するための議論ももちろんありますが、そのための答弁を起案者が個人で完結できずとも、チームが言いたいことを理解しようと努め、代弁することで、気軽な提案ができるようにしたいと思っています。

いろんなメンバーがいろんなコミュニケーションで感じたインサイトが、例えばSlackやNotionでツイートすることで突発的に発生したり、定期的なミーティングの場でインサイトが吸い上げられることで、議論が発生します。

「先日インタビューしたあのクリエイターさん、いまはこんなことを考えているみたいですよ」

というインサイト共有から、

「だとすると、こんな機能があれば、もっと使ってもらえるかもしれないですね」

という機能提案に繋がったり、

「サポートでNFTに関する問い合わせをよく見かけるけど、なんでだろう」

「もしかすると、このジャンルのクリエイターさんと親和性があるのかもしれないですね」

という議論から、提供価値の輪郭が見えてくることが良くあります。

ロードマップは定期的に経営を中心に見直しがあり、より整理された形で言語化されますが、それはまとめのようなものにすぎず、材料となる提供価値の発見はこうした日々の議論の中で行われます。

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選択

こうして集まった「目指すべき提供価値の一覧」を、取捨選択することで冒頭に述べたようなリストにしていきます。

取捨選択する判断基準はいくつかありますが、ここでは提供価値の時間差についてお話しします。

まずMOSHでは、すべての提供価値にはそれが効力を持つまでの時間差があると考えています。

その時間差は大別すると、以下のように分類できます。

  1. 目の前のクリエイターさんが今まさに提供を求めているもの(現在価値)
  2. 市場変化(の兆し)によりクリエイターさんのワークフローが変化することで生じるニーズ(中期価値)
  3. マクロの社会情勢の変化から予想される将来的な市場ニーズ(長期価値)

 ※以下価値分類と呼びます

これらの時間差による分類は具体性と対応しません。

とても具体的な課題ではあるが、解決が価値を持つことになるまで長い時間がかかる(今は大きな課題ではない)ものもあるでしょうし、今目の前で困ってそうなことはわかるのだが、具体的に解釈ができないこともあります。(レアケースですが)

ロードマップにリストするかどうかの意思決定は、これらの価値分類の時間差を考慮し、概ね現在価値40%、中期価値30%、長期価値20%程度になるようにバランスを見ながら取捨選択します。

要するに、今求められている価値の提供ができなければ使われないけれど、中長期でニーズが変化した時を見据えた仕込みもやっておかないと、競合優位性の構築や、継続的な成長はできないよね、というシンプルな思考です。

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中期価値

ところで、上記の価値分類の中で最も発見や言語化が難しく、かつ最もプロダクトの非線形な成長に寄与すると考えているものは、2番目の中期価値です。

将来社会がある変化をすると仮定したときに、今のクリエイターさんたちがそれに応じてどのように変化するのかという、予測を元に具体的な言語化が求められるため、最も難易度が高いと思っています。

だからこそ、この中期的なニーズの変化をとらえることが、自社の強みになると考えているため、MOSHではこの中期価値の解像度上げる議論に積極的に取り組んでいます。

中期価値を発見する議論について、「サービス提供のオンライン化」という市場変化を例に考えてみましょう。

サービス提供のオンライン化については、コロナ禍の影響で10年はかかる市場変化が1年程度で訪れました。

たくさんのクリエイターさんがオンラインサービス提供を試み、実施している状況を前提とすると、今後どんな変化が起こるでしょうか?

当然ですが、オンラインを前提とする市場では、スキルがある人はすばやくサービス提供を開始し、しかもそれが世界中の人に提供可能になります。

UberEatsが普及したことで、ゴーストレストランが登場したように、オンラインサービス提供に特化したクリエイターさんもどんどん登場していくと思います。

事実、レストランのように専用の資材や施設投資が不要な分、とても急速に拡大しています。

こうして市場にはたくさんのオンラインサービスが広がっていきますが、このことはコンテンツのコモディティ化を招くと思われます。

無数にあるオンラインサービスですが、提供形式はほぼZoomや一部のSNSが提供するライブサービスが主流です。

この誰しもが同じウインドウに切り取られたビジュアルの中で、他と比較して勝る価値提供をせねばなりません。

これまで施設の立地条件や格式高い内装など、価値づくりの一端を担っていたオフライン価値は使えない。差別化要因の減少、つまりコモディティ化です。

こうした変化にさらされた市場が、必然的にクリエイターさんに新しいニーズを呼び起こします。

それは、例えば以下のようなものになるのではないでしょうか。

  1. オンラインサービスでも、旧オフライン価値のような付加価値を作りたい
  2. オンラインだからこそできる、他と差別化要因になる付加価値を作りたい

前者は、サービス提供プラットフォームの拡張ニーズへとつながるでしょう。カメラワークの最適化、映像情報からパーソナルデータのモニタリング、BGMの最適化、IoTとの連動等です。

後者は、これまでのオフライン価値から視点を切り替えて、オンラインだからこそできる付加価値の模索です。

たとえば、顧客との関係性を強化するために、オンラインのリアルタイム性を活かしたコミュニケーションがより密に取れる仕組みを求めるのではないでしょうか。

2人だけのメッセージはもとより、アルバムが作れたり、成長記録が残せたり、そうした関係性強化するコミュニケーション基盤をデジタル上に求めるのです。

まとめると

「オンラインが当たり前の市場になると、ビジュアルやオフライン価値での差別化が難しくなるので、デバイスでのリッチ化や、コミュニケーションでの価値提供に比重が移る」

という議論です。

上記は予測というよりは、ほぼ既に見られている事実を辿ったようなものになっていますが、

「市場がこのような変化をしたときに、クリエイターさんのニーズはどのように変化するだろうか」

「おそらくこういったストレスがかかるはずだから、その解決としてこんな機能を求めるのではないか」

MOSHではこのような議論は日ごろから積極的に行っています。

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終わりに

いかがでしたでしょうか。

MOSHでは日常的にインサイトを掴むための調査と言語化の議論を積極的に行っています。

自分の担当業務で得た知見を元にメンバー全員がプロダクトの方向性を決め、常に総意が反映されるようなロードマップを目指していきたいと思います。

もし、こうした議論や思考に親和性があるな、興味があるなという方がいらっしゃれば、ぜひ一度詳しくお話しさせていただければと思うので、お気軽にご連絡いただければと存じます。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

末筆ではありますが、一緒にプロダクトをつくってくれるメンバーを絶賛募集していますので、もし少しでも興味を持ってくださったらいつでもお気軽に連絡ください。

是非にお話ししましょう。